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全米ゴルフ選手権 (番外編)

今回の全米プロゴルフ選手権は一般庶民が気軽にラウンドできるニューヨーク州立のゴルフ場で開催されたのは皆さんもご存知ですよね。BLACK、RED、BLUE、GREEN、YELLOWの5コースからなる正にニューヨーカーのゴルフの聖地です。

BLACKは州発行の免許証又はノンドライバーズIDを持っていれば、平日$65・週末$75、州外の人は倍の$130・$150です。全米オープン2回、全米プロ1回、FedExCupプレイオフ2回開催のコースとしては超お得ですよね。REDコースも素晴らしいコースで、大学選手権や以前はNY State Openも開催していました。こちらも州内外で値段が違い、$43・$48と$86・$96です。他の3コースは州外のかたでも同じ値段でプレイできます。平日$38・週末$43。

この広大な庶民のゴルフ場を今回の全米プロ開催に際し、見事に変身させました。

ボランティア含め全ての来場者は駐車場、タクシーなどの車寄せ、最寄り駅からバスで会場まで輸送されました。何十万人という人間を輸送するために作り上げたバスの乗降場は、YELLOWコースの10番ホールと18番ホールに作り上げられました。コースの芝は大丈夫?と心配しましたが、じっくり見ると砂利を芝の上に敷き詰めて、その上にアスファルト敷いた感じでした。乗降場は、10番ホールの女性TEE付近からグリーン手前まで。バスは、そこから11番ホールと12番ホールの間を通って外に出ます。

仮設とは思えない綺麗な道、撤去にどれだけ時間がかかるのかな?

バスを降りたら、クラブハウスに向かってYELLOWコースの9番ホールと10番ホールの間の通路を歩くと、今回のトーナメント唯一の入場ゲートがあります。そのゲートを超えると目の前に野球場2個分位の大きさのMERCHANDISEテントが見えてきます。今回のグッズ販売のMERCHANDISEテントは圧巻の6万平方フィート(約5600㎡)。NIKE、Ralph Lauren、Adidas、Under Armour、New Era、47 BRANDなどの主要メーカーが1000種類以上のロゴグッズを販売しました。約10万個の帽子と4万枚のゴルフシャツが大会開催中に売れたと言われています。僕もかなり貢献したなぁー!

さて、コースに到達するまでには様々なブースが点在し、スウィング診断、パターレッスン、アプローチレッスン、ドライバーレッスンや新聞社のブース、ニューヨーク観光協会など多様なブースで記念グッズを無料で配布したりしていました。

練習場はYELLOWコースの1番ホールを占領して作られていましたが、全く面影がないくらい素晴らしく作り上げていました。

大きなジャンボビジョンには、各選手の打った球がTOPTRACERという計測装置でヘッドスピード、飛距離、ラン、総距離が色分けされ映し出されていました。

220ヤードのアイアンであんなに高い球を打つのか・・・とか皆さん個々にコメントしながら見ていました。

パター練習は、通常我々が利用するクラブハウス前のと、BLACKの1番ホール手前の2ヵ所。殆どの選手がクラブハウス前を利用していました。今回の時計のスポンサーはOMEGAでしたが、通常ベスページのクラブハウス前にはROLEXの緑色の時計台があります。撤去したのかな?と思ったら、なんとROLEXの時計は完璧に覆われて長方形の緑のオブジェになっていました。(写真無くてごめんなさい!)

ニューヨークの観客は品がないとかヤジがひどいとか言われていますが、。全員がそうでは無いのですが、実際にスコアラーしていて、これやりすぎだろう!という場面に何度も遭遇しました。その起爆剤になるのがアルコール。週末は非常に良い天気でビールの消費量も多かったのでしょう。そのビールですが、何と・・・1本15ドル!

そのビールをミニスカート姿の若い女性がカートで売り歩いていました。ヤンキーズ・スタジアムヤンキースタジアムよりもMADISON SQUARE GARDENよりもはるかに高い値段設定にも関わらず、観客は値段を気にせずにビールを買い、チップも弾んでました!

ビールをがぶ飲み、フードスタンドで購入したハンバーガー、サンドイッチを食べながらの観戦。さぞゴミが散乱すると思うでしょ。それがコース内は驚くほどゴミが少なかったんです。それもそのはず。ゴミ回収係がコース内のあちらこちらで大きなビニール袋とピンセットのお化けのようなものを持って歩きまわって落ちているゴミを回収していました。それを目にしている観客は自ずとゴミ捨てに協力するんですよね。この相乗効果、素晴らしいと思いました!

全米プロ終了から1週間経過し、ベスページが一般開放されました。未だ未だトーナメントの名残はありますが、全コースオープンには驚きました。BLACKは、ほぼ全米プロ状態のままでオープン。YELLOWは道路を作ったりしたので、9ホールのみのプレイ。REDとGREENはBLACKに隣接しているホールのTEEグランドの位置を変えてのプレイになっていました。僕はゴルフ好きの仲間とBLUEを午前8時44分から回りました。BLUEは1番ホールが30ヤード短くなっただけで、トーナメントの影響が一番低いコースでした。

BLACKがどうなっているか気になった僕は、18ホール終了後に仲間に別れを告げてブラックコースを回ることにしました。午後3時のスタートです!

1番ホールに向かう途中目にしたのは、まだ解体していない18番ホールのグランドスタンド。「おー、そのままじゃん!」何故か独り言!1番のスタンドは解体されていました。

元大学ゴルフ部という30代前半の二人組と一緒に3人で回ることに。自己紹介あとに一人が「俺たちは、トーナメントTEEでやるけど、あなたは前でやって良いからね!」嘗められたもんだなと思った僕は「一緒に同じところでやるよ」と答えてスタート。飛距離の違いに驚いた僕ですが、とりあえずドライバーはフェアウェイキープ、2打目バンカー入れるも、砂一のパー。兄ちゃんたちもパー。こんな形でプレイを続けました。約半分以上のスタンドが残ったままで、PGAの垂れ幕もそのまま。完全にトーナメントコースを回っている感があり楽しかったです。ラフは多少はカットしていましたが、トーナメント時と同様に潜り方が半端なかったです。このコンディションは、そう長く維持しないと思うので、とにかく楽しもうと真剣でした。ハイライトは13番パー5、605ヤード。ドライバーでフェアウェイを捉え、5Wでグリーン手前140ヤード、そこから今シーズン最高の高弾道のアイアンショットでピン横60センチ、バーディでした!これには兄ちゃんたちも脱帽。「フランク、このホールだけだったら先週の連中の半分以上に勝てるぞ!」と言われたが、ほかのホールでラフの餌食になり大叩きしてブラックの恐ろしさを改めて実感しました。

次のトーナメントは2021年のTHE NORTHERN TRUST(FedExCupプレイオフ初戦)、そして2024年のライダーカップ。

しばらくは、我々一般庶民のゴルフの聖地として占有できそうです。

 

ABOUT ME
フランク 早川
1963年1月生まれ。アメリ生活45年、ニューヨークにてITのコンサルティング会社を営んでいる。ゴルフ歴40年、とにかくゴルフをこよなく愛している。40代の頃はニューヨークで5本の指に入る腕前で今でも多くのアマチュア大会に参戦している。現在のハンデは7と低迷しているが、ニューヨークのアマチュアゴルフ界では知らないものはいない存在。 2003年からPGA・LPGAツアー並びにUSGA Championshipにてスコアラーのボランティアをはじめ、FedexCup Playoff、PGA Championship、US Openの上位グループのスコアラーも任されるようにまでなった。 またTokyo 2020では、ゴルフの競技委員として招待されるまでのレベルになる。米国内のクラブフィッター、ティーチングプロ、PGAプロ、フィジカルスセラピストとの交友も深く、常にゴルフ関係の動向にアンテナを張って生活している。