ツアー

マット・クーチャー、キャディ報酬事件の結末

昨年11月のマヤコバ・ゴルフクラシック(メキシコ) でマット・クーチャー4年半ぶりのツアー優勝を果たし、それから勢いに乗り2019年初戦のソニーオープンでも優勝し、FEDEX CUPランキングトップに躍り出ました。

そのクーチャーの周囲で大きな騒ぎが起きています。

それは、マヤコバ・ゴルフクラシックでスポット起用したキャディ(デビッド・オルティス)への報酬に関してです。

皆様は勿論ご存知のようにPGAツアーでは優勝賞金10%を専属キャディに支払うことが通例です。

しかし、今回はスポットで起用された現地のオルティスキャディへのギャラは$5,000 (55万円)でした。

ところが、オルティスはこの支払に対し苦情をクーチャーのエージェントに申し出て、自分はレギュラーキャディでないので10%とは言わないが$50,000 (550万円)の価値はあったはずとの要求したそうです。エージェント側は、それを受け、追加で$15,000 (165万円)を提示したものの、オルティスは拒否し、話は平行線をたどり、そのことがSNS等で炎上していました

クーチャーは至って冷静で、今回の一件はオルティスの周囲で「お前は大損した!クーチャーに騙された!」みたいな事を言われ煽られたのだろうと関係者に話をしていたそうです。またクーチャー自身「どんなに頑張っても一日200ドルしか稼がない中、一週間で5,000ドルはどでかい報酬だ」とGOLF.comの記者にインタビューで言っていました。

そもそもクーチャーは現地入りした際にオルティスと以下の契約を結んだと言ってます。

予選落ち        $1,000 (11万円)

予選通過        $2,000 (22万円)

20位以内       $3,000 (33万円)

10位以内       $4,000 (44万円)

結果的に優勝し、クーチャーは更に感謝の気持ちを込めて$1,000 (11万円)追加して$5,000 (55)を現金で渡しました。

クーチャーは、周囲の大騒ぎには全く動じずにいますが、ここ一週間の本件の注目度は大きくマスコミや業界関係者からは、クーチャーのイメージダウンにつながる大問題、クーチャーに与えるダメージは10%のギャラの$129,600 (1,425万円)を遥かに超えるものであると言われていました

そんな状態が続く中、今日(2/15)大きな動きがありました。

クーチャーが声明を発表しました。その一部分を紹介します。

「僕は今週、キャディ報酬に関する一件で、オルティスさんに対し、無神経で且つ軽視した発言をし、侮辱したことを深くお詫び申し上げます」

「自分の家族・両親・自分の仲間に対してもお詫びします。今晩オルティスさんに直接連絡を取りしっかりとお詫びし、彼の要求どおりの$50,000 (550万円)が無事に問題なく彼の手元に届くようにいたします」

これで、本件に終止符が打たれるわけですが、3カ月近く放置しておいた事実とオルティスさんに対する無神経な発言は永遠に残り、クーチャーにとっては大きな汚点となったことに間違いはありません。

“今週のリビエラカントリークラブでの大会、クーチャーは初日3アンダー発進で好調ぶりを維持しています。この騒ぎの中、冷静にプレイをしているクーチャーの精神力強い!“

 

 

ABOUT ME
フランク 早川
1963年1月生まれ。アメリ生活45年、ニューヨークにてITのコンサルティング会社を営んでいる。ゴルフ歴40年、とにかくゴルフをこよなく愛している。40代の頃はニューヨークで5本の指に入る腕前で今でも多くのアマチュア大会に参戦している。現在のハンデは7と低迷しているが、ニューヨークのアマチュアゴルフ界では知らないものはいない存在。 2003年からPGA・LPGAツアー並びにUSGA Championshipにてスコアラーのボランティアをはじめ、FedexCup Playoff、PGA Championship、US Openの上位グループのスコアラーも任されるようにまでなった。 またTokyo 2020では、ゴルフの競技委員として招待されるまでのレベルになる。米国内のクラブフィッター、ティーチングプロ、PGAプロ、フィジカルスセラピストとの交友も深く、常にゴルフ関係の動向にアンテナを張って生活している。