ツアー

ニチレイレディス 振り返り

例年は天気との戦いとなるこの大会ですが、今年は“暑さ”との戦いがテーマだったかもしれません。

前日のスタート時間変更と最高のコンディション

前日の夕方、スタート時間が30分繰り上がるという変更がありました。これは明らかに気温を意識した対応だったでしょう。
早いスタート組の選手にとっては、まだ気温が上がりきっていない時間帯でのラウンドとなり、練習や調整も含めて体力的には比較的やりやすかったのではないでしょうか。

天候も安定していて風は弱く、絶好のゴルフ日和。
例年は雨でフェアウェイが湿って転がりにくい印象がありますが、今年はフェアウェイを捉えればランがしっかり出る状況で、ティーショットの飛距離が稼げました。

一方で、ラフは長めに仕上がっており、週末にかけてさらに伸びていたと感じます。
その結果、フェアウェイとラフでの残り距離の差が明確に出て、ショットの精度がより重要な要素になっていた印象です。

2日目:穏やかな天気と静かなムービングデー

この日も風は弱く、前日同様の理想的なプレー条件。
雲が日差しを和らげる場面も多く、極端に暑い時間帯が少なかったことも選手たちには好材料だったでしょう。

大会が3日間競技ということもあり、土曜日の2日目が「ムービングデー」に。
初日に出遅れた選手たちは予選通過を懸けて果敢に攻め、逆に好スタートを切った選手たちは勢いそのままにビッグスコアを狙っていく構図が見られました。
この日、一気にスコアを伸ばして上位に浮上した選手たちが、最終日の優勝争いに名を連ねていたのではないでしょうか⁉︎


日清都カントリークラブ

最終日:強風と緊張感に包まれた決戦

一転して、最終日は朝から風が強く、これまでのコンディションとは打って変わって難しい展開に。
4打差をつけて首位でスタートした入谷プロにとっても、楽な戦いではなかったはずです。

特に新袖コースはグリーンが小さく、一度リズムを崩すと逃げる選手にとっては立て直しが難しいのではと思います。
ショットがグリーンに乗らない展開が続けば、精神的にも苦しくなったでしょう。

しかし、追う側の選手にとっても同様に、風の中でスコアを伸ばすのは簡単ではない状況。
最終日は「攻めて追い上げる」よりも、「上位の崩れを待ちながら、自分のプレーを貫く」という戦略が求められた1日だったのではないでしょうか⁉︎

雨のない1週間がもたらした“いつもと違う”大会

1週間まったく雨が降らなかったニチレイレディス。
湿ったフェアウェイ、重たいラフ、突然の雷中断——といった過去の光景とは異なり、今年は**「暑さ」と「深いラフ」、そして最終日は「風」にどう対応するか**が勝負の分かれ目になった大会でした。

例年とは違う表情を見せた今年のニチレイレディス。
この暑さの中で見えた選手たちの対応力や集中力は、今後の本当に暑い夏の大会にも大きなヒントを与えてくれそうです。

 

ecc

ABOUT ME
関根 淳
1975年5月24日生まれ。通算3勝。 空気のような、終わってみれば『そう言えばいたなぁ〜』と言われるぐらいの存在でありたい! 2010〜11年は丸山茂樹プロ専属キャディーを務め、2012年からは山下和宏プロ専属キャディーとしてツアーに参戦。 その後フリーで多くの選手のキャディーを務める。2025年は阿久津未来也プロ、山城奈々プロなどを中心に男女両ツアーに参戦。今年も若手からベテランまで色々な選手をフリーでキャディーを務める予定。