ツアー

ボランティアが支えるアメリカプロゴルフツアー

 

毎週の様に開催されるプロゴルフツアー、PGA Tour・Champions Tour・LPGA・WEB.com Tourそして下位の各種ツアーを含めるとアメリカ中でものすごい数のトーナメントが開催されています。
その原動力となるのは、何を隠そうボランティアの方々なんです。

PGA・Champions Tour・LPGAに於いては、毎トーナメント700人から1,000人のボランティアが
トーナメントを支えています。
原則的に最低でも4から6時間のシフトを3シフトをこなさないといけません。
単純計算しても、最低ラインで8,400時間、最大で18,000時間、アメリカの最低賃金で計算すると
$77,280 (¥8,500,800)から$165,600 (¥18,216,000)の労働力が無料で提供されることになります。

その上、ボランティアはユニフォームを自己負担で購入する義務があります。
同じトーナメントでも、毎年ユニフォームが異なるので、使いまわしは出来ず新たなユニフォームを
毎年購入します。USGA主催の大会は100ドル越えですが、通常のツアーは大凡70ドル前後が相場です。

また、メジャー大会のボランティアは狭き門で、選手やプレイを見れるボランティアの職種に関しては
リピーターで募集人数が埋まってしまい、キャンセル待ちになります。
各ホールの観客の整理を担当するMarshal、練習場やクラブハウスのアテンド、スコアラー、Standard Bearers(スコアボードを持つ係)、SHOTLINK(選手が打ったボールの距離を計測する係)等は基本的にやりたいと思ってできるものでないのが実情。

ですから、US OPEN、PGA・LPGA・Senior PGA Championshipなど毎年開催地が変わるトーナメントでは
どんなに遠くても遠征してボランティアをする方が大勢いるんです。

例えば今年僕がスコアラーとして参加した全米女子オープン(ニュージャージー州のTrump National Bedminster)では
アメリカの西海岸からスコアラーするためだけに15万円の飛行機代、10万円のホテル代、更には5万のレンタカー代を払って来た方もいました。
このような方々は他にも沢山いるんですよ。

何故そこまでしてボランティアするんでしょう?
答えは簡単、奉仕することが好きなんです。ボランティア大国アメリカでは、とにかく奉仕をする事に生き甲斐を感じている人が大勢います。プラス、ゴルフが好きなのは言うまでもありません。

1,000人って、本当?って思う人もいるでしょうが、表にでない裏方のボランティアも沢山いるんです。
ボランティアの種類は約20、日本の事情は知りませんが、こちらではボランティアが殆どの仕事を熟します。
全米女子オープンを例にとると、ざっとこんな感じ。

1. Access Control (会場入口での入場整理)
2. Admission Sales & Will Call(当日券の販売、ゲストチケット受け渡し)
3. Caddie Hospitality(キャディー登録、BIBの授受などのキャディ向けのサポート全般)
4. Corporate Hospitality(スポンサー企業のサポート)
5. Laser Operators (各ホールにおける飛距離計測)
6. Course Evacuation(悪天候の場合の選手、キャディー、オフィシャルの移動‐運転免許要)
7. Disabled Services(体の不自由な観客のサポート)
8. Golf Carts(大会関係者が使用するゴルフカートの管理)
9. Leader Boards(コース内に設置されているリーダーボードのアップデート)
10. Marshals(各ホールの観客整理)
11. Merchandise(トーナメントグッズの在庫管理サポート、販売サポート並びにレジ係)
12. Office Administration(大会本部の事務サポート)
13. Player Operations(大会参加選手並びに家族、スタッフ向けのコンシェルジュサービス)
14. Product Distribution(各ホール備え付けのクーラーボックスの飲み物補充、会場内のトーナメント案内・組合せ表設置場所での補充)
15. Practice Areas(練習場の管理サポート)
16. Program Sales(大会プログラムの販売サポート)
17. Standard Bearers(各組に帯同するスコアボードを持つ係)
18. Transportation(大会が無償で提供する車の受け渡しサポート)
19. Volunteer Headquarters / Orientation(ボランティア本部でのサポート)
20. Walking Scorers(各組に帯同しスコアを携帯端末並びに紙に記録する)

ボランティアがここまで深くトーナメントに関与しているとは多分思わなかったでしょう!

僕はボランティア歴15年、花形であるWalking Scorerを過去10年やらせてもらっています。
テレビに映ったり、選手と仲良くなったりと本当に楽しいですが、その裏に数百人ものボランティアが
いることを認識して、いつも感謝の気持ちを忘れずにいます。

<余談>
藍ちゃんの最後の全米オープン、USGAの粋な計らいでスコアラーとしてつかせてもらいました。
4年前にSebonackというゴルフ場で開催された全米女子に続いて二回目。
何とその時のことを覚えていてくれたのには驚きました。世界のAiちゃん、最高です!
引退するのは残念ですが、最後に本当に良い経験させてもらいました。

僕はこれからもボランティアを続けていきます。

今年は、全米シニアプロ選手権、全米女子、The Northern Trust(FedexCupプレイオフ初戦)にてスコアラーをしました。
今月末開催のPresidents CupにもPGAの依頼を受けスコアラーとして参加することが決定!

Presidents Cupをテレビで観戦する皆さん、フランク早川を探せ!

2017 全米女子オープン

2017 シニアPGA Championship

2016 The Barclays

2013 全米女子オープン
藍ちゃんはこの時の事を4年も経ったのに覚えてくれたんです。

 

 

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ABOUT ME
フランク 早川
1963年1月17日生まれ。 1978年単身アメリカに留学。 1986年ラ・サール大学理学部生物学科卒業 1987年 鐘紡株式会社入社 1992年Kanebo Information Systems Corp. (USA) 出向 2000年 同社社長就任 2007年 ニューヨークにてDouble Eagle Solutions(IT Consulting会社)起業現在に至る ゴルフ歴25年、とにかくゴルフをこよなく愛しています。週末は必ずゴルフをしないと震えがくるゴルフ依存症の54歳、40台の頃はニューヨークで五本の指に入る腕前で今でも多くのアマチュア大会に参戦している。現在のハンデは7と低迷しているが、ニューヨークのアマチュアゴルフ界では知らないものはいない存在。 過去10年は、PGAツアー並びにUSGA Championshipにてスコアラーのボランティアにも力を入れており、FedexCup Playoff、PGA Championship、US Openの上位グループのスコアラーも任されるようになった。 クラブフィッター、ティーチングプロ、ローカルPGAプロ、スポーツセラピストとの交友も深く、常にゴルフ関係の動向にアンテナを張って生活している。