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ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 振り返り

今年もサロンパスカップは、グリーンの仕上がりが素晴らしかった大会でした。
火曜日の指定練習日には雨が強く降り、水捌けが良い茨城ゴルフ倶楽部でもグリーン上に水が浮くほどのコンディション。しかし、その後もスピードは落ちることなく、ほとんどの日で14フィート以上を記録。
通常、あれだけの雨が降れば少しはスピードが落ちるものですが、コース管理の素晴らしさを実感しました。

初日:好天と穏やかな風
初日の1stラウンドは朝から晴天に恵まれ、風もほとんどない絶好のコンディション。
選手たちも思い切ったプレーを展開し、グリーンもフェアウェイからのショットはピタリと止まり、ラフからは止まらずにある程度は転がるといったメリハリのある状況でした。
良いコースセッティング、良い気象条件であったので、ボールのライ、グリーンの状態を素早く見極め、上手く流れに乗った選手たちがスコアを伸ばせたでしょう。

2日目:風が強まり難易度が増す
天候は徐々に悪化する可能性がある予報でしたが、日中は持ちこたえ、午後の最終組がホールアウトする頃にポツポツと雨が降り始めました。
朝から風が吹き、午後にはさらに強くなったことで、選手たちは風に対応するショットが求められました。
2ndラウンドはピンを狙うよりも安全な位置にボールを運び、バーディーを狙うよりボギーを叩かないようにするプレーが求められたように思います。

3日目:雨の影響とムービングデ
この日は前日の夜からの雨が朝からシトシトと降り、特にスタートが早い組はハーフの間、遅い組は3~4ホールほどは雨量は多くないものの傘は手放せなかったでしょう。
雨の影響でグリーンが柔らかくなり、スピードも若干落ちたことで、前日までタッチに苦戦していた選手にはチャンスが広がったように思いました。
逆に前日までの高速グリーンに合っていた選手は苦戦を強いられたようです。
スコアの平均を見ると、この3日目が最も良く、まさに「ムービングデー」となりました。ここでしっかりスコアを伸ばした選手たちが最終日に望みを繋げました。


日清都カントリークラブ

最終日:蒸し暑さと横風の試練
最終日は暖かさを通り越して蒸し暑さが残る中でのスタート。
前日の雨の影響か湿度が高く、風も時折強くなり、しかも多くのホールで横風が吹く難しいコンディションでした。
選手もキャディーもラインを読むだけでなく、風の予測・計算が、いつも以上に繊細なものになったのではないでしょうか?
同じ組でも打つ順番によって微妙に違う風向、強さがタフな状況を作ったかもしれません。

ベテラン勢の意地
優勝争いはベテランの申ジエプロ、藤田さいきプロの二人、そして1組前の葭葉ルミプロも最終ホールでイーグルが出れば追いつけるという状況でした。
さらに最終組には山城奈々プロも加わり、30代の選手たちでの優勝争い。若手だけでなくベテランの粘り強さが光る展開となりました。
経験に裏打ちされた安定感あるプレーが、終盤の接戦を制する重要な要素になったと言えるでしょう。

まとめ
今年のサロンパスカップも高速グリーンの対応が大事でした。そして風が強く吹く日は少なかったですが、風向が分かりづらかったこともあり、選手、キャディーを苦しめました。
コースコンディションは見事で、あのグリーンスピードは言い表すならば“凄い”の一言。雨の影響をほとんど受けないスピードを保ち続けたのは驚異的です。
ベテランの意地と経験が光った優勝争い、そしてムービングデーでのスコアの伸ばし合い。
各ラウンドごとに求められるスキルが違ったように感じますが、メジャーは耐えて耐えてパーでしのぎ、チャンスをしっかりものにするという、結局は基本通りのプレーが大事だったのでしょう。非常に見応えのある大会でした。

次の大会もまた、ベテランと若手の熱い戦いが繰り広げられることを期待したいですね!

 

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ABOUT ME
関根 淳
1975年5月24日生まれ。通算3勝。 空気のような、終わってみれば『そう言えばいたなぁ〜』と言われるぐらいの存在でありたい! 2010〜11年は丸山茂樹プロ専属キャディーを務め、2012年からは山下和宏プロ専属キャディーとしてツアーに参戦。 その後フリーで多くの選手のキャディーを務める。2025年は阿久津未来也プロ、山城奈々プロなどを中心に男女両ツアーに参戦。今年も若手からベテランまで色々な選手をフリーでキャディーを務める予定。