ツアー

ブライソン・デシャンボー

Bryson James Aldrich DeChambeau (ブライソン・デシャンボー)PGAツアー参戦3年目の24才は、2015年に史上5人目の学生選手権と全米アマの二冠を同時に達成したことで脚光を浴びただけでなく、機械的なアンオーソドックスな打法でも有名な選手です。

ハンドアップに構えノーコックで体の回転だけで打つ、彼独自の科学的根拠のあるスィングと本人は言ってます。

今シーズンの途中ではグリーン上でコンパス(方位磁石)を使用したことがきっかけで話題にもなりましたね。

アイアンはウェッジ系以外の全てのシャフトの長さを6番アイアンの長さにし、スイングを統一にしたり野球バットのグリップほどの極太グリップを使用したりでマイウェイを前面に出しています。

FEDEX CUP初戦のThe Northern Trust、今年もスコアラーとしてお手伝いすることとなりました。

金曜日は初のダブルヘッダー、午前中はBilly Horschel, Kevin Kistner, Alex Noren組に付き午後はNick Watney, Danny Lee, Richy Werenski組でした。

土曜日の朝、若干肌寒いRidgewood CCに到着したときに「フランク、最終組じゃないけどDeChambeauに付いてくれないか?」とPGAの担当者に言われたときは、噂のコンパス男(方位磁石)ねと思ったが、機械的なスイングを目の前で見れるんだったら面白そうだなと思い、「I LOVE IT」と即答しました。

一番ホールで待機していた際に、先ずはショーン・オヘアが登場し通常通りに「今日はよろしくね」と挨拶された。

その後、TEE TIMEぎりぎりでデシャンボー登場したものの、ソワソワしていて挨拶もせず、かなり緊張している様子に見えた。

スタート後も挨拶すらなく、プレイに集中しながら進んでいきました。

一番は下りの長いバーディーパットを惜しくも外しパー。

2番のパー3ではピン横3メートルに付けて見事にバーディー!

次の3番ホール逆風588ヤードのパー5、ティーショットはフェアウェイ右に280ヤード。

2打目地点で何故かドライバーで素振りを開始。前の組が未だグリーンにいるので練習しているんだろうと思ってみていました。

オヘアは既に2打目をレイアップ。やっとグリーンが空き、デシャンボーは残りのヤーデッジの最終確認をCADDIEとした後、再度ドライバーを取り出し素振り開始。

どう見ても地下ドラでフェード狙いの素振り。まさか、MOVING DAYの3番ホールで勝負に出るのか???左はOBだぞ…と思ったその瞬間に打った球はコースなりに見事なフェードがかかり、グリーンから約15ヤードに着地しました。アゲンストの272ヤードの地下ドラショット、鳥肌たちました!!!

こいつは凄い!ここからガンガン行くぞと僕は確信しました。勿論、このホールはバーディで首位と1打差!

4番ホールのTee Shotを打って歩き始めた直後に、いきなりデシャンボーが「Excuse me. ちょっとすいません」と声をかけてきた。

何事かと思いきや、「もう4番だけど、今まで挨拶もできてなくてごめんなさい。僕ブライソンです、今日はよろしくお願いします」と丁寧に頭を下げてきた。

「フランクです。よろしく!」と答えながら、1番ホールでのソワソワ姿を思い出し、よっぽど緊張していたんだなーと思いました。

その後もショット・パットともに見事なもので、バーディーを重ねて前半を4アンダーで折り返し、その時点で単独2位となりました。

と、途端にカメラの数が急に増え、スタート時点ではテレビカメラは一台もいなかったのが、前半の途中からカメラが一台つき、二台つき、11番12番で連続バーディー取った時には、5台のカメラが我々の組をフォローしてました。

上位陣が崩れる中、デシャンボーは自分のゴルフを淡々とこなしてました。

ギャラリーも増え、「おーい、お前の分度器どこだ?」と間違ったこという輩に対し「分度器じゃなくて、方位磁石だよ」とあしらう所には余裕すら見えました。

17番のパー5で再度勝負に出て、2打目をグリーン手前に持ってきてアプローチがカップイン寸前、タップインバーディーで18番を迎えました。

デシャンボーは右ドッグレッグのドッグレッグぎりぎりの木の上を狙う若干無謀なティーショットを打ちましたが、ラッキーなことにフェアウェイキープ。

第2打は残り170ヤード、右からの軽いドローでナイスオン!約5メートルのパットを残しました。この時点でコースレコードの62で回ったブラッドリーに1打リードの首位。このまま首位で最終日を迎えるのは確実でした。

今日のデシャンボーはのりのり、何か見せてくれると信じていました。

期待に応え5メートルのパットを沈めて63(-8)でトータル16アンダーで3日目が終わりました。明日最終日もこの勢いで優勝すると信じて僕は18番ホールをあとにしました。

スコアリングテーブルでスコアカードにサインした後、僕とがっちり握手して「今日は本当にありがとう」とお礼の一言と共に先ほどのバーディーを決めたボールにサインして渡してくれた。そこで思わず僕は「今日の3番ホールの地下ドラ(Driver off the deck on 3rd hole gave me a goose bump! That was awesome!)には鳥肌たったよ、あれは凄かった!」と言ったら、もの凄い笑顔で「だろう、だろう、良く分かってくれたね!Right, right! You know it, thank you, Frank!」とハイタッチを2回。

そこから延々と約10分くらい色々と話をしました。その後、インタビューがあるからとインタビュー席に行ってしまったけど、2人でのゴルフ談義楽しかった!

僕の中に新たなスターが生まれました。人間的にも最高です。

この男これからが期待できるぞ!

ということを書いておいたにもかかわらず時間がたって、FEDEX CUP第一戦二戦の連続優勝!

第二戦ではThe Northern Trust同様に三日目のムービングデーに又もや8アンダーで首位になりました。

「Moving Day 8アンダーの男」とでも呼びましょうか?

頑張れデシャンボー!そしてライダーカップのキャプテン推薦枠でのアメリカ選抜チーム入りおめでとう!

 

 

ABOUT ME
フランク 早川
1963年1月生まれ。アメリ生活45年、ニューヨークにてITのコンサルティング会社を営んでいる。ゴルフ歴40年、とにかくゴルフをこよなく愛している。40代の頃はニューヨークで5本の指に入る腕前で今でも多くのアマチュア大会に参戦している。現在のハンデは7と低迷しているが、ニューヨークのアマチュアゴルフ界では知らないものはいない存在。 2003年からPGA・LPGAツアー並びにUSGA Championshipにてスコアラーのボランティアをはじめ、FedexCup Playoff、PGA Championship、US Openの上位グループのスコアラーも任されるようにまでなった。 またTokyo 2020では、ゴルフの競技委員として招待されるまでのレベルになる。米国内のクラブフィッター、ティーチングプロ、PGAプロ、フィジカルスセラピストとの交友も深く、常にゴルフ関係の動向にアンテナを張って生活している。