ツアー

BMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ振り返り

今年も熱戦が繰り広げられたBMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ。
宍戸ヒルズを舞台に、例年とは少し異なる展開が続いた4日間でした。

例年は1日は必ず雨に降られることで知られるこの大会ですが、今年は練習日の1日だけが雨天。本戦の4日間はまさかの“雨ゼロ”で、選手にとっては珍しいコンディションとなりましたが、選手の技量が試される良いコンディションでした。

コースセッティングに見る今年の特徴

例年と比べ変わったところが2点あります。

それは2番ホールの変更。
予選ラウンドの2日間は、50ヤード前方のティーを使いPAR4として運用、結果的に予選はPAR70、決勝ラウンドはPAR71というセッティングになりました。

また、フェアウェイのファーストカットが広めにとられていたことで、例年良いティーショットでもラフへ転がってしまうようなことがありましたが、ファーストカットまでには止まるようになり、選手にとってはガッカリすることが少なくなり、フェアになっていたように思います。

各ラウンドの展開はどうだった⁉️

■ 初日:風に翻弄されたスタート

当初は穏やかな風の予報。しかし、思いのほか風が強まり、終わってみて振り返ると最も厳しいティー・ホールロケーションとなった初日。
特に17番ホール(PAR3)は平均スコアが4.832と、ほぼ「ボギーで上がれればOK」という難易度に。

進行も大幅に遅れ、最終組は日没ギリギリのホールアウトとなりました。


日清都カントリークラブ

■ 2日目:風が明暗を分けた日

この日は4日間で最も風が強かった日。
ただし、早い時間にスタートした選手たちは風が強くなる前にホールアウトでき、2〜3打の差が生まれる要因に。
カットラインは4オーバー。この風の中でこのスコアは、ツアー全体のレベルの底上げを感じさせる結果となりました。

■ 3日目:読みにくい宍戸の風

風の強さはそれなりだったものの、やっかいだったのは宍戸ヒルズ特有の読みにくい風。
特定のホールで風を読み間違えると、その後のホールのリズムまで狂う——そんな影響を受けた選手も多かったことでしょう。

ムービングデーらしく、順位変動も激しく、見応えのある1日でした。

■ 最終日:ビッグスコア連発の決戦

風はほとんどなく、4日間の中で最も穏やかなコンディションに。
これにより、難コース宍戸でもビッグスコアが続出。

前半の6番ホールまでに流れに乗れた選手は、そのまま勢いを保ってスコアを伸ばす展開に。
一方で、上手く流れに乗れずスコアを伸ばせなかった選手にとっては、上位陣のスコアが「異次元」に感じられたかもしれません。

蝉川泰果プロ、劇的勝利!

この大会で最後に主役になったのは蝉川泰果プロ。
最終ホールでバーディーを奪い追いつき、プレーオフでもバーディー。
敗れた堀川未来夢プロも納得の、文句なしの勝ち方だったと思います。
上位陣の誰が最後に抜け出すか分からない展開の中、最後の最後に差し切った蝉川プロ流石でした。

ポイントはやはりスタート2ホール

今年のセッティングでは、予選ラウンドにおいて2番ホールがPAR4に変更され、従来のように6番ホールまでにスコアを伸ばすという戦略も、この2番ホールをどう乗り切るかにかかっていました。

2番ホールがPAR5、PAR4のどちらにせよ、やはりスタートの1〜2番ホールの流れが、その日のプレー全体を左右するという本質は変わらなかったのではないでしょうか⁉︎

以前のこの大会では難し過ぎるコースのせいか、悪いイメージが少ない経験があまりない選手が、宍戸で躍動する選手が多かったように思いました。ただここ数年は、ツアーでしっかりと結果を出した実力者が上位へ行くようになり、日本の男子ツアーのレベルが上がっていること証明しているように思います。

ツアー選手権の名に恥じない、本当の技術が試される大会の今年も宍戸ヒルズが選手たちに様々な課題を突きつけた4日間でした。
来年はどんなセッティングで、どんなドラマが待っているのか⁉︎
選手たちには1年後の自分の姿を描きながらレベルアップして戻ってきて欲しいですね❗

 

ecc

ABOUT ME
関根 淳
1975年5月24日生まれ。通算3勝。 空気のような、終わってみれば『そう言えばいたなぁ〜』と言われるぐらいの存在でありたい! 2010〜11年は丸山茂樹プロ専属キャディーを務め、2012年からは山下和宏プロ専属キャディーとしてツアーに参戦。 その後フリーで多くの選手のキャディーを務める。2025年は阿久津未来也プロ、山城奈々プロなどを中心に男女両ツアーに参戦。今年も若手からベテランまで色々な選手をフリーでキャディーを務める予定。