今年の中日クラウンズは、例年以上に天候に左右される大会となりました。
初日は午前組の後半から風が強まり、午後組にとってはかなり過酷な一日。
2日目は朝から雨でコース整備に時間がかかりスタートが50分遅れ。昼前後には激しい雨となり、13時前に中断。再開は16時、日差しも戻ってきましたが、北寄りの風が強く吹き始め、再開後のプレーは厳しいものになりました。午後組は全組ホールアウトできず、サスペンデッドとなり翌日に持ち越し。
3日目は、2ndラウンドの残りと3rdラウンドを消化。風も穏やかで、選手たちにとっては今大会で最も整ったコンディションでした。
そして最終日は、時間が進むにつれて風が強くなり、最終組がスタートする頃には“和合らしい風”が吹き始めました。
和合の風と向き合う
和合の風は本当に気まぐれです。横風になるホールが多く、これが和合の難しさ。
フォローかアゲンストかは打つ球筋や場所、そしてその一瞬のタイミングにも左右されます。
そんな中で心に残ったのが、宮里優作プロの2ndラウンド後のコメント。
「ここではあまり自分を出しすぎると痛い目に合う。和合に上手く自分を染めていく」
この言葉には思うところがあります。
和合は距離が短いため、攻め方の選択肢が多く、つい“やりたいこと”に手を出したくなります。でも、それが裏目に出ることもしばしば。
だからこそ、「やりたいことではなく、やるべきことをやる」——それが大切。
特に、出場回数が増えるごとに、選手の中には過去の失敗のイメージが積み重なり、シンプルに攻めることが難しくなってくることがあります。
結果が良かった時の記憶だけが“正解”に見える。でも、それは再現できるとは限らない。
優勝の浅地洋佑プロが示したこと
今年の優勝者・浅地洋佑プロのプレーは、まさに「和合に染まる」ことができた選手の典型。
距離が短くても、風が不規則でも、引き出しの多さと冷静な判断力で、状況に合わせた“やるべきこと”を徹底していたように感じました。
そして“運”。こちらも味方にできたのでしょう。
最後に
和合のようなコースでは、自分を押し通すのではなく、コースと対話することが特に求められます。
自分のスタイルを押しつけず、風や芝、地形の声に耳を傾ける。
それが「自分を染めていく」ということ。
今年の中日クラウンズは、そんな“自然との対話”の大切さを改めて教えてくれた大会でした。
